沼尻元湯2
沼尻元湯
No.005
-numazirimotoyu-
沼尻元湯-その2-
自噴独自源泉No.1
福島県 
2006/09/25 訪
2007/03/30 作

沼尻元湯

立入り禁止の標識があった。
地図を見るとこの川沿いの道を進むと沼の平に出る。

このルートが禁止された沼の平ルートではないかと思うが、確かな情報は得ていない。

いづれにせよ立入り禁止になってるし、ここら辺で入浴できるから無用な危険を冒す必要はない。  
  目の前には湯川は広がっている。湯川とは言うが実は大きな湯船。 これは大きな湯船だ!

辺りに漂う硫黄臭は上質な硫黄泉の証拠。
触ると適温より少々熱いが脱いでから移動することにする。

全裸で

よっしゃよっしゃ!入浴入浴といきまいていると写真を撮っているかたがいるのに気付く。 川の谷状の場所にいるため接近を確認できなかった。
軽い挨拶をしお風呂入っていいですかと一言断った。 その人は一瞬なにを行っているか理解できないそぶりを見せたが、 何かひらめいたようなしぐさをみせ、了解してくれた。

常人からみたら野湯の入浴は異常に見えるのだろうか、と思いながら脱衣していたら 下流のほうでその人も入る準備をしていた。 やはりここは大きな湯船のようだ。  
蒼く白濁した湯はきれいな色をしている。
硫黄泉には殺菌作用があり、析出物はさらさらとして不潔さを感じさせない。
さすがに硫黄が体積している場所は粘土のように足がとられる、だがどろどろの野湯にくらべたらはるかに入りやすい湯だ。

よし適温!といざつかってみたら案外熱かった。というか・・・

あちー!あちー!よ!あつ!あつ!

どうやら手をつけた場所には湯が滞留し温度が少し低かったみたいだ。
だが熱いと言っても48度だろうか、・・・我慢すれば入れるが、あつ!

腕立て伏せの仰向けの状態で半身を入れては、あつ!と体を浮かす。
これを繰り返している様はきっと異様だったであろう。 仕方なく少し下流に移動する、全裸で
ちょっと温度が下がっただろうか。うまく湯が滞留する場所を探し適温の湯壷を発見した。 ここににゅうよく!

肌さわりはこするときしむ感じがするか?味はすっぱい!草津ほどではないがすっぱい!後ににがみというか、うぇ〜じぶい つまり後味が渋い。ばぁ!と一気に吐き出したい気分になる。
硫黄のかおりが良い…これぞ温泉!と言い張れる温泉に間違いない。 関東の温泉だかなんだかわからない循環湯にくらべたら…いや比較にならない、比較するのが失礼にさえ感じる。
⇒のタオルは知る人ぞ知るほったらかし温泉のものだ

別にほったらかし温泉を馬鹿にしてるわけではないが、
ここはすべてほったらかされている上に

「あっちこっちどっちにするかはそっちでね」

が妙にマッチしている。 皮肉なくらい…
別にほったらかし温泉を侮辱するわけではないとさらに付け加えておく。

あー・・・、ゆっくり空が流れている。人も遠くのほうにちらほら登山客が見える程度で、こちらに来る様子はない。
1時間くらい入浴していただろうか、時間がわからん。それほどゆっくりと流れた時間はすでに一時間と少し経過していた。 うぉ!もうこんな時間か、と手早く体を拭き着替え、帰路に着いた。  
多分、半裸で温泉の中をあるきながら撮影したもの。
所々熱いがそれは気合!
入浴しながら一枚。 こんなことばかりやってるからカメラの寿命が・・・。
ちなみにカメラは防水ではない。

往路

振り返ると山道を登る道とは別に川沿いに道が続いていることがわかる。

この道はどこに続いているのだろうと少し先まで進んでみることにした。
わらぶき屋根が地面に落ちていると言うか建物が倒壊しているみたいだ。これがおそらく明治期に営業していた田村屋旅館だろう。 せめて立っていてくれたらと健在の姿を見てみたかった。名残惜しい。
配湯ようの木管がずっと先まで続いている。中には当然ながら湯が滞りなく贅沢にながれている。 と言うことはこれは沼尻まで続いているのか。
ロープウェー?どう見ても人用ではない、 物資運搬用のロープウェーだ。ロープウェーの行き着く先は、遠くで経路が曲がっているのがみえる。
近くまで行くとなるほど、湯の華がいっぱいに入った箱が何箱か積まれていた。
どこかからかピューピューと空気が漏れる音がすると思ったらこれだ。
配湯管が壊れて穴が開いているようだ。 応急的に修理されているが、これはただ板の上に重しをのせ穴をふさいでいるだけ。

なんとも原始的はあるが

俺がここで外したらどうなるのだろう…

もちろんそんなことは絶対にしてはいないが。 それにしても哀愁の中にかわいらしさを憶える光景だ。

私だけか
ここにも朽ちた建物らしき痕跡がある。

沼尻元湯にはいくつの旅館があったのかは知らないが、田村屋旅館以外の旅館の残骸かもしれない。

近くまで行くとその敷地の跡がはっきりとわかる、明らかに建物への道がコンクリートで作られており、その先には基礎らしきものがある。

ところどころに陶器の残骸が転がっている。湯治場の跡だろうか。

少し先まで進んでみようと行ってみたが、これは沼尻温泉まで続いているような感じだ。
そのまままっすぐすすんでみる。
配湯管はつづく、途中に沼→とペンキで書かれていた。 沼尻はこっちということだろう。いけるとこまでいこうと思っていたが、ほぼこれは作業道だと確信していた。
道幅は狭くなる。右側は断崖だ。平坦な楽な道ではあるがこれはお勧めできない。 道が崩れて補強してある場所が2、3箇所ある。雨で道がぬかるんだ日にはとても通る気にはならない。
ロープウェーの終点があった。ワイヤーには滑車がぶら下がっている。
年期を感じるがまだ現役らしい。

と言うことはここから物資を運ぶには車と言うことか。

ではこの先は…
もうすでに見えている。広場のようにみえるが・・・

やはり駐車スペースだ。車の入れる車道は地図上からではこの駐車スペースへのルートしか見当たらない。

…てか恐ろしく近い。登山道とくらべると2倍くらいの速さで着いてしまった。

しかも坂道などもなく平坦なみちであった。片側が崖だというリスクを除けばの話だが。
駐車場から見た出口(入口)。 やはり、どうやらこれは作業道らしい。
標識には危険ですので立ち入らないでください的なくだりが書かれている。

・・・こちらからのルートは推奨いたしません!。^^;


すばらしい源泉地帯があるのは以前から知っていたが、これほどまでとは・・・ やっぱり見ると行くとではゼンゼン違う。
百聞は一見にしかずとはこれのことだ。 しかも、これほどの温泉地なんですが・・・みんな知らなくない?。

なんでマイナーなんだろう。

とかなんとか思いながら、沼尻温泉にもどり田村屋旅館のお風呂をいただくのでした。
しかもただで。なんでただかというと・・・例のパスポートの力です。アリガタヤー。

まぁ同じお湯ですけどね。

<糸冬了>